2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧
近所の小さな山裾に野生の藤が咲いている。毎年見ている山なのに、藤を見るのは初めてだ。いや、もしかしたら、藤棚の下だけに咲く花と、勝手に思い込んでいたせいで、気づかなかったのかもしれないな。しかし何と力強い花なんだ。その藤色が充分に存在を示…
知人の家にリックという、オスのミニチュアダックスがいる。かなり前から飼っていて、人間の歳にするともう七十歳を超えているという。なるほど目は白内障になっていて、歩きもヨタヨタしている。 ところがそのリック君、そんな体になってはいてもあちらの方…
こうやって風が吹いて来るもんですから、どうにも逃げられないわけですよ。それが悪い風であろうとなかろうと、ここから逃れることは出来ないわけですよ。外に出れば目を開けておかなきゃならないし、生きていれば息もしなきゃならない。そんなこと考えない…
四十年ほど前になるかなその頃住んでいた団地の最上階から飛び降り自殺を図った男がいた。団地は十三階建てだったのでもちろん即死で、あたりには血糊など体内の諸々が散らばっており落ちた場所には塩が撒かれていた。男は市外に住む人間で、その当時団地に…
最近は星がよく見える。物心ついた頃から、あまり星を見た記憶がないのだが、最近はやたらと星に目が行く。空がきれいになったのも確かだが、どうやら、星を気にする歳になったらしい。本当に星がよく見える。
東風が吹いている。明日は雨なんかな。
古い酒樽に無数の割れ目が入り、感情の酒がこぼれ出している。随分前からこぼれているのだろう、酔いはかなり回っているようだ。足下はふらついているし、口もうまくまめらない。いつ吐いてもおかしくない状態で、ぼくは人生を漂っている。
幸せな出発とは言えない人生を、君は持っている。世間では一応そうなっている。苦労を君に着せる人がいる。涙を君に見せる人がいる。だけど勘違いしてはいけない。彼らは自分の人生の中で苦労を計り、自分の人生の中で涙しているだけなんだ。君は君なんだ。…
君のそのまなざしはいつの時代のまなざしですかぼくが知る以前の君ですかぼくが知っている頃の君ですかそれとも今の君ですか君の人生ですかほんの気まぐれですか
新谷雅先/assets/nf8b854781b6f_0aef8735d770e335b6b1df1d0cc8b274.mp31, 高校2年の秋、その頃付き合い始めた人と初めてデートした。場所は太宰府だった。 小雨の降る中、天満宮を二人で歩いたのだが、なぜか彼女がよそよそしい。あまり喜んでないようなん…
ぼくら家族が住むこの家にはもう一つの家族が住んでいる。彼らは老若や男女の区別なく無慈悲で野蛮で凄く好戦的で、ぼくらの姿を見つけるや否やキャーキャーと奇声を上げてスリッパ片手に襲ってきたり猛毒の霧をふりかけてきたり時に凍死させようと試みたり…
ぼくら家族が住むこの家にはもう一つの家族が住んでいる。彼らは老若や男女の区別なく凄く好戦的で無慈悲で野蛮でぼくらの姿を見つけるや否やきゃーきゃーと奇声を上げてはきもの片手に襲ってきたり猛毒の霧をふりかけてきたり時に凍死させようと試みたりこ…
ボーッとしている時どうでもいいようなことを想像することがある。こぶとり爺さんのこぶをとったのは鬼ではなくて、実は大門未知子だったのではないか、とか。ボーッとしている時どうでもいいようなことを考えつくことがある。通気性のないガラスの靴を履き…
人間寝ることが大切だ。疲れも取れるし、気力も湧いてくる。とはいえ少しでも寝過ぎてしまうと体は疲れるし、気力も湧いてこない。さらにはデブになったりして体のためにもよくはない。かといって寝ないでいると病気になったり、狂ったり時には霊に取り憑か…
あの日流れ星に願ったことは生涯持ち続けられる夢を授けてもらうことあの日流れ星に誓ったことは生涯その夢を追い続けていく粘りを持つことあの日流れ星に願ったことは生活の中に極上の酒を添えてもらうことあの日流れ星に誓ったことは極上を味わえるように…
白いボールは風に乗り、どこまでもどこまでも飛んでいった。その行方を目で追いながら、ダイヤモンドを必死にぼくは、駆けた、駆けた、駆けた。一塁を回り、二塁を回る。このまま一気にホームを駆け抜けろ。と思っていたら、三塁にかかったところで、外野が…
傘をさすのが苦手なもんで、なるべく傘はささないことにしている。そのせいで雨に濡れることもあるのだが、さほど気にはならない。昔からこんな調子だった。傘をさす苦労に比べると楽なもんだと、びしょ濡れで学校に行ったこともある。もちろんクラス中の笑…
水の兵隊と砂の兵隊が波打ち際で戦争を繰り返す。喚声を上げながら一気に侵攻する水の兵隊と、そうはさせじと身を捨ててこれを押し返す砂の兵隊が、太陽を味方につけ風を味方につけお互いに一歩も譲ろうとしない。くる日もくる日も飽きもせずにこの戦争は続…
昔の恋人にあったりすると、うれしいんだけど複雑だ。なぜか素直に喜べないのは、古き恋への恥じらいか。古き自分への後悔か。充分すぎるくらい冷静に振る舞おうとする自分の姿が滑稽すぎてたまらない。なぜに体裁つけているのか。どんな自分で接したいのか…
朝起きて八割のマイナスを見る。どこかで八割のプラスを見ないと今日一日の採算が取れない。そこで心がすがすがしくなる先人の本を読んだり、ちょっとしたクスッを得られるマンガの本を読んだりして、足りないプラスの補給をしている。毎日毎日がこの繰り返…
猫は本能で生きている動物だから自分の行動に理屈をつけることをしない。行動に理屈をつけることをしないからのんびりと人生を考えることもない。人生を考えることがないということは裏返せばそんな暇はないということになる。つまり猫はその時その時の行動…
新谷雅先/assets/n40bd123c22d7_cb41856cb75057b5c02ad15551c3435b.mp3スポットライト 暑ければ上着をとりなさいよ 今日もお日さまが笑ってるんだから 君に贈る言葉が見当たらない 幸せそうに君も笑ってるんだから 彼は頼れる人なんだから 困ったときは何も…
疲労困憊、肩こり腰痛、あいつが痛い、ビタミン剤。花見て一杯、月見て一杯、悩みが一杯、眠れんバイ。茶柱立って、フラグが立って浮き足だって、現実見えない。相づち打てない、寝返り打てない、妙手が打てない、根回しできない。おとこの頭痛、おんなの腹…
びゅーびゅー、ごにょごにょびゅー、ごにょにょ・・・・おいおいおまえ勘違いしてはいかんぞ、びゅー。人生というのは足し算ではなくていつもいつも引き算ぞ、びゅー。生まれてからいろんなものが少しずつ減っていくんぞ、びゅー。それをおまえは足し算だと思っ…
子どもの頃茶の間に掛けてある柱時計が止まるといつもぼくは思っていたものだった。その中で働いている小人たちが疲れて時を止めているんだ、と。ついこの間のことリビングに掛けてある掛け時計が止まった。その時ぼくは思ったものだった。子どもの頃働いて…
新谷雅先/assets/n57c4ec96a589_098506d097afccb4f33f886c75ea9b83.mp3春のようなしぐさ 春に舞う鳥になれたら いつもぼくは君のそばにいて 二人で空を翔んでは ありったけの愛を歌う こんなひとときにも君は 苦労性に体を動かす 「それでもいいよ」という君…
実はね、この世の中にいる猫の多くは、人間の生まれ変わりなんだよ。前世で誰にへつらうでもなく気ままに生きている猫を見て、羨む人の願いを神様が聞入れ、現世に猫としての生を与えた。 だからね、猫が素知らぬ顔をしていても、決して侮ってはならないんだ…