くきなみ村から

人生万事大丈夫

2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

【詩】退職記念日

確かに何かやりたかったのだけど、確かに嫌になっていたのだけど、本音のところは何も考えられなくなったからだ。突然そうなったのではなく、突然そう思ったのではなく、十年と数ヶ月がその方向に歩かせたのだ。人生がヤル気という人為を嫌ったのだ。いろい…

【詩】花と蝶

うすべに色に散る花びらが柔らかな春の風に舞う ひらひらひらりひらりひら ひらひらひらりひらりひら黄色い日差しに染まった蝶が戯れながら春を舞う ふわふわふわりふわりふわ ふわふわふわりふわりふわ一つと一つが重なり合って春満開を舞い降りる ひらひら…

【詩】湿気ったダンヒル

湿気ったダンヒルを口にすると君がぼくの手から火を奪う。そして指でワッカを作ってはふうと彼方へ吹きつける。だけど一度だけでは消えなくて二度三度と続けるうちに君のかわいい指がアチッと言って思わずぼくの耳たぶをつかむ。 とがめようのない君の行為が…

【詩】砂漠

それは、月に隈のない頃の話ですね。旅はまだ続くのでしょうか。砂漠も夜は寒いでしょうね。 ──少なくとも昼間よりはだけど、星も透き通っては、月も色づく。きれいでしょうね。ああ、ぼくの心はちょうど砂漠、漠、漠と君の面影もきれいですよ。君の想い出もき…

【詩】ふわありふわり

なんだかとっても落ち着いてなんでもかんでもやれそうでうしろを向かずに行けそうでほんとにいいことありそうでどこへそこへと飛び出していんきな影をも拭い去り ふわありふわり どこへ行こう ふわありふわり なにをしようよごれた靴を脱ぎ捨ててつかれた町…

【詩】犬のウンチを踏んだ日の人生

基本は土を踏むのと何ら変わらないのですが、それを踏んだとたん、それまでの環境が一変してしまうものなのです。そのことを見聞きした友だちからは馬鹿にされ、あげくに好きなあの子に暴露され、ついには「変なあだ名をつけられるのではないか・・」といらぬ…

【詩】夜の声

明日になれば、また今日も去り夢の巷でひとりごと時は過ぎて灰になり夢の言葉で夜になる ひとり歩くこの隙間から 寒々響く夜の声月は枯れて星もなく柳の道のひと休み濡れた風が空に舞いいつもの疲れた顔をする 頬に紅をつけたひとの姿が 恋のにおい残してい…

【詩】カニの独り言

何でオマエらは前を向いて歩くんだ。それではまともに風を受けるじゃないか。オレのように武器も持ってないくせに、どうやって風と闘うというんだ。殻に守られた体でもないし、水の中で生きてもいけないし。それにそんな大きな図体じゃ、穴の中に隠れること…

【詩】いちじくのジャム

いちじくのジャム、おいしいかいいちじくのジャム、おいしいかいぼくもいっしょに食べたいんだけどそうだね、いちじくのジャムだったね遠くの方で誰か狙っているよほら、黄金の目をしていちじくのジャム、何にぬっているのほんとはぼくも食べたいんだけど小…

【詩】雨を見ながら

みんなどうしているんだろうか?やっぱりこんな雨を見ながら呼吸をしているんだろうか?家庭という言葉に安らぎをみるんだろうか?幸せという言葉にいくつ出会ったんだろうか?犠牲という言葉に潰されてはいないだろうか?社会という言葉に振り回されてはい…

【詩】竹

ぼくの住むマンションの隣には、小さな竹藪があって、この季節特有のにおいを吐いている。いわゆる青臭いってやつだ。幼い頃はこのにおいが、何のものだかわからなかった。ようやくそれを知ったのは、思春期を迎えた時だった。竹も発情しているんだ、とその…

【詩】無理をしない

笑うようなことがないから無理して笑わない。今はそんな時間だ。誰とも話したくないから無理して話さない。今日はそんな日だ。まったくやる気が起きないから無理してやる気を起こさない。今週はそんな週だ。嫌なところばかり見えるから無理して人を見ようと…

【詩】夕方景色

街の景色が電球色に染まっていく白い雲も遠くの山も川沿いの柳も学校も鳥居も商店街も駅も電車も原付バイクも家路に急ぐ人たちも所狭しと止っている電線の椋鳥も空を舞う鳩の群れも鴉も犬も猫も何もかもが電球色に染まっていく

【詩】教室の中のきみしか知らない

教室の中のきみしか知らないどんな家庭で育ってきたのかどういう幼少時代だったのかどういう家に住んでいるのかどういう食べ物が好きなのか教室の中のきみしか知らないどういう服を好んで着るのかどんな友達と遊んでいるのかどういう会話をしているのかどう…

【詩】ある真夜中の話

二月下旬のある真夜中の話だ。まるで雪女が出てくるような寂しい風音がして目が覚めた。枕元に何かがいるように感じその気配に怯えたり怖れたり更に現実の不安まで加わってなかなか眠ることが出来ない。眠れないが疲れに変った時だ。耳元にか細い玄関チャイ…

【詩】生きている

神の前で宗教を必要とするヒトが体を曲げ祈っている。その横で宗教を不要とするネコが体を曲げ毛繕いする。おたがい懸命に生きている。ヒトは安らぎを得るために必死に神や仏を求めている。ネコは安らぎを得るために必死に肉や魚を求めている。おたがい懸命…

早帰り

昨夜は仕事を三十分早く終え、急いで家に帰ってきたのだが、野暮用で時間を費やしてしまい、結局風呂に入る時間はいつもと同じで、まったく新鮮味のない夜を送った。しかし考えてみれば、たかだか三十分早く帰ったくらいで、どんなすばらしい世界が待ってい…

【詩】遺作

世の中の「この野郎!」を絵筆に伝え彼の腕は一気にキャンパスの上を這ったひとつの心は無数の色を呼び無数の色はあまねく魂を呼ぶ長い時間をかけた作品だと聞くだけど彼にとってはほんの一瞬の出来事だったのだろう

【詩】灰色の雲

青空を遮断する灰色の雲が笑顔で指揮棒を振っているさりげなく笑顔で近づいて彼らに『愛』をうたわせるさりげなく風を吹かせては彼らに『平和』を語らせるさりげなく雨を降らせては彼らを『正義』に走らせるさりげなく青空を垣間見せ彼らに『銃』をかつがせる

供述調書(2023年6月10日)

・・・あの男が誘ってきたのよ。いやに馴れ馴れしく近寄ってきてね。わたし断ったわ。だって興味なかったんだもん。ところが彼、何度も何度も誘ってくるのよ。最後には泣きだしてね。それで、一回だけならということで受け入れることにしたの。どうでもいい…

【詩風】主張

私は、「人類の長い歴史の中に今とはまったく違う科学や法則があってそれに則った文明があったのではないか。いや、そう考えるほうが自然だし、そうでないと地球は面白くない」と考えているのであります。私は、「ピラミッドもそういう文明の要求のもとに建…

【詩】私という民族

心の扉を開けてごらんなさい。おそらく無数とも思えるほどの、私という民族が住んでいるのです。その民族の一人一人が時を得て、主役として現れては消えていく。この入れ替わり立ち替わりの繰り返しが、私の歴史を刻んでいるのです。そして私という民族が最…

【詩】自分が納得できるように

「無理しなくていいですよ」というのは、少しの無理を期待されているということ。よければ全てやってくださいということ。やらないと人に迷惑がかかるということ。そんな受け取り方を信じてしているからわたしはいつも無理をしてしまうんです。みんなそうで…

迷言を吐く男(2014年7月11日)

三十代の前半だったか、足繁く飲み屋に通った時期がある。思い起こせば不機嫌な生活を強いられた時期だった。とにかく毎日がうつむき加減で首や肩のこる毎日だった。足繁く飲み屋に通ったのは、そんな不機嫌で肩や首のこる生活から少しの時間でも逃げ出した…

【詩】サブノート

いつの頃からか、ぼくにはサブノートが必要になっている。あまりに無鉄砲だった日々を反省してのことなのか、他に理由があったのか、そこのところははっきりしない。ただ、サブノートを必要としだしてからは、あまり失敗をしなくなったような気がする。それ…

迷言を吐く男

三十代の前半だったか、足繁く飲み屋に通った時期がある。思い起こせば不機嫌な生活を強いられた時期だった。とにかく毎日がうつむき加減で首や肩のこる毎日だった。 足繁く飲み屋に通ったのは、そんな不機嫌で肩や首のこる生活から少しの時間でも逃げ出した…

【詩】あの世の歴史

時々思うことがある。高校の頃柔道で落ちたことがあるのだが、実はあの時ぼくは仮死ではなく本当に死んだのではなかろうか。蘇生してこの世に戻ったのだと疑いもせず思っているが、実は生き返らなかったということだ。そうであれば、その後のぼくの歴史はあ…

【詩】五月の風

風の姿は見えないけれどこうやって新緑の街を眺めていると流れているのがわかります。のんびりのんびり流れています。空行く鳥もゆるやかにのんびり風に乗っています。五月の風はのんびりとでも着実に夏のにおいを運んでくるものなんですよ。

【詩】生死の呼吸

何かことが終わる時は小説の最終章のような自分勝手な括りはなくてドラマの最終回のような仰々しい予告もなくて実にあっさりと自然に終わっていくものだ。ぼくが病院を好まないのは勝手な括りを示してみたり最終回の予告をしてみたり迷惑至極な存在だからだ…

【詩】気にしてる

わたしは風の流れを気にしてる嫁さんは腰の痛みを気にしてる友人は外れた銀歯を気にしてる知人は鼻の違和感を気にしてるイヌは女性の香水を気にしてるネコはタバコの煙を気にしてるカラスは動かぬ車を気にしてるハトは首筋の凝りを気にしてる地底人は天の歪…