くきなみ村から

人生万事大丈夫

2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

【詩】19歳のお盆

一人前に恋をしてるんだよと母が息子の秘め事を触れ回る。まあ、お盆に恋の話なんてと近所のおばさんが笑い出す。仕事を探す方が先だろうがと親戚のおじさんが怒り出す。そもそも恋とは何であるかと読経後に坊さんが語り出す。その恋のお裾分けをせよと仏壇…

【詩】今日を前に進もう

何ごとも前に進むためには前を向かなければならないところが今日という一日は後を向くことで美化される前が後になってしまうんだだから前に進めないんだよ

仏罰

https://massaki.club/archives/3909611.html上の記事は、22年前の3月のお彼岸に書いたものです。内容は書いてある通りです。

【詩】早口経

チーン、チーン、チーン坊主は上手に屏風に隠れてそろばんはじく坊主は上手に屏風に隠れて金貯める坊主は上手に屏風に隠れて寄付つのる坊主は上手に屏風に隠れて土地を買う坊主は上手に屏風に隠れて毒を吐く坊主は上手に屏風に隠れて嘘をつく坊主は上手に屏…

「あなかしこ」なんて書いたら、宗派がわかりますよね。

【詩】お盆

風の通らぬ仏間に、線香と蒸れた果物のにおい色とりどりの落雁テーブルの上にならぶ、瓶ビールと栓抜きとビール会社のロゴ入りグラス枝豆、ピーナツ、柿の種肩幅の広い黒衣の坊主分厚い経本と南無阿弥陀仏足のしびれと扇風機常に誰かがいる、お盆あなかしこ…

恋愛に勝者なし(2002年8月29日)

https://massaki.club/archives/3909782.html上は、22年前に書いた記事です。「恋愛に勝者なし」と言い切ったわけですが、心の奥底には「負けを認めたくない」という気持ちがあったのだと思います。きっとぼくの潜在意識は、勝負するのが好き(つまり負けず…

夏の風物詩

最近見かけなくなったもののひとつに、蠅とり紙というものがある。よく魚屋とかに天井から吊るしてある、両面がベタベタしたガムテープのようなものだ。 ぼくの家は、高校の頃までポットントイレだったため、よくトイレからくそ蝿が飛んできた。トイレの中に…

【詩】あの手帳

あの手帳は小ぶりで書きやすくけっこう重宝していたんだけど「やはりあの手帳捨てたんかな」どこをどう探しても見当らない探しても探しても見つからないあと二冊程残っていた。そんな印象が頭に残っているんだけど「やはりあの手帳捨てたんかな」どこをどう…

【詩】あのことも、そのことも

ときどき思うことがある。現人生のどこかでぼくはこの世の人でなくなって、それを知らないまま今を生きているのではないか、と。そうでも思わないと到底理解できないことがぼくの歴史の中にはある。あのことも、そのことも、こんな風に考えることも。

【詩】事件

一丁目から二丁目で日が昇った二丁目から三丁目に風が吹いた三丁目から四丁目で事件は起きた四丁目から五丁目に銃声が響いた五丁目から六丁目で豪雨が降った六丁目から七丁目に車が走り去った七丁目から八丁目で通行人が通報した八丁目から九丁目に住民は避…

【詩】あるカフェでの話

ぼくとママは昔からの知り合いだそのことをあいつは知らなかったぼくとあいつは高校の同級生だそのことをママは知らなかったあいつはママの元彼だったそのことをぼくは知らなかったママと妻は中学の先輩後輩だったそのことをぼくは知らなかったママと妻の姉…

【詩】ニャオ系の声

崖の上から吹き下ろす風が地面を激しく叩きつけては勢いよく跳ね返ってきます。風は崖の下に転がっている子ねこが鳴いているようなニャオ系の声を絶え間なくぼくの耳元に運んできます。あまりに長い時間続くのでぼくはこの高い崖の上から離れられないでいる…

【詩】確かなこと

その時、喜びとか悲しみとか怒りとか憎しみとか愛だとか恋だとか過去だとか未来だとか夢だとか希望だとか暑いとか涼しいとか健康とか病気とか苦しいとか辛いとか痛いとか痒いとか未練とか諦めとかおはようとかさよならとか生活とか仕事とか亭主だとか女房だ…

【詩】六十代

人間の平均寿命が百二十歳になったらきっと六十代なんか若造で先輩諸氏からいつも怒鳴られていることだろう。人間の平均寿命が百二十歳になったらきっと六十代の髪は黒々していて白髪やハゲの人は早熟な人と言ってからかわれることだろう。人間の平均寿命が…

【詩】根

生活で疲れた心が根になって、また疲れた生活を生む闘いで砕けた心が根になって、また新たな闘いを生む恋愛に酔った心が根になって、また酔った恋愛を生む怒りで狂った心が根になって、また狂った怒りを生む喜びに溢れた心が根になって、また溢れた喜びを生…

楓ちゃん

1 7年前、ブログのネタ探しをしていた時に、大正末期から昭和初期にかけて『楓物語』という童話があったというのを知った。主人公「楓」を中心に、友人の「弁太」や「久良子」たちと繰り広げる話だという。その物語が刊行されたのは1925年。それから59年後、…

【詩】我々は宇宙人である

我々は宇宙人である。我々は宇宙人である。かつてお前たち地球人の夢の中にやってきていまもお前たち地球人の夢の中に存在している。我々は宇宙人である。我々は宇宙人である。だから見たくてもその目では見えないしだから触れたくても触れられないのである…

【詩】最期

日が暮れて部屋の灯りがつくと彼らはマンションの六階にある我が家の窓を目がけ飛んでくる。そして網戸に必死にしがみつき力いっぱい声を張り上げている。どうやらわずかに残った人生をここで過そうという魂胆らしい。だけど老いさき短いセミたちよここには…

【詩】暑さの原因

夕暮れになるとこの街に焼肉の臭いがやってくる。そして肉の飛び散る脂もにおいと共にやってくる。熱風に乗ってやってくる。肌にしつこくベタベタと更にしつこくベトベトと上半身にまとわりついて下半身にまとわりついて下着の中まで染みついて。この夏の不…

【詩】1978年4月、上京

1978年4月の上旬のことだった。キャンディーズの解散コンサートをテレビでしっかり目に焼付けてから桜前線を追うようにぼくは上京した。東京で新幹線から中央線に乗り換え降りた駅が当時国電の新宿駅だった。この街がぼくの東京デビューとなる。一度も…

【詩】蝉、蝉、蝉、

それにしてもすごい音だその音に気づかないくらいすごくすごく大きな音だ。ゴミ出し日のカラスの声より航空自衛隊の練習機の音より真夜中に走る暴走車の音よりすごくすごく大きな音だ。この音が暑さのBGMとなり夏の無意識となっている。このBGMに乗れ…