中3の頃だから今から五十数年前になるか。
夕方、外に出た時のことだった。いくつもの豆球のような光が、隊列をなしてぼくの頭の上をフラフラと飛んでいるのを見つけた。隊形は竹ひご飛行機の骨組みのようで、大きさはそれよりも何倍も大きかった。音はなあったのかもしれないが、周りの音が大きくて、よくわからない。
「何だろう?」と思ったぼくは、その光の隊列を追いかけて行った。しかし光は二十メートルほど先の角を曲がった所で消えてしまった。
後日、その光ことを多くの人に語ったのだが、頭の中の映像を言葉で説明するのが難しく、そのたびにぼくは「中学の頃、UFOを見た」と言っていた。
今月の13日のこと。
テレビで関門海峡の花火大会の中継をやっていた。午後7時を過ぎた頃だった。花火を打ち上げる前、まだ日が落ちてない時間にドローンショーをやっていた。それを見て、ぼくの頭の中で五十数年前の記憶が蘇った。
「この光だ。形もこんな感じだった。これなら高さも自在だし、音もさほど大きくない」
これでようやくあの光を説明することが出来る。と喜んだが、さて、何であの時代にこれが見えたのだろうか。よくよく考えたら、あんなチンケなUFOはないだろうし、一つ一つの光があまりに小さすぎて、宇宙人が入っているようでもなかった。
もしかしたら、ぼくはあの時、UFOではなく、未来を垣間見たのかもしれない。どう考えても、あの光はドローンの光以外考えられないのだ。
それに、ぼくとしてはUFOよりも、未来の方にロマンを感じる。ぜひそうであってほしい。