【1月16日】
21:00 仕事が終わり、家に帰ってきた。車から降りて、マンションに入ろうとすると、入口の前に、１５センチほどの薄茶色の棒が２本落ちているのに気が付いた。何だろうと近づいて見てみると、なんとウンチだ。おそらく犬の物と思われる。
【1月17日】
7:50 ウンチはまだ残っている。誰かが踏んでいた。
12:00 ワクチン接種を済ませ、家に戻ってみると、もうウンチはなくなっていた。誰かが掃除をしたのだろう。水で洗い流した跡があり、きれいになっていた。
19:00 月一のマンション理事会があった。
昨夜のウンチ事件が議題に上った。
「あれ、犬のウンチですよね」とぼくが言うと、
「いやあの太さだから、人ですよ」と１階の人が言った。
（もしやったのが人だったとしたら、まだ人通りのある午後８時過ぎまでに、ズボンやパンツを下げて、ウンチをするだろうか？街灯もついているというのに）とぼくは思ったが、口に出すと、会議が長引くので、黙っておいた。
結局、犬か人かの件はうやむやになった。
「ところで、誰が掃除してくれたんですかねえ？」と、管理会社の人が聞いた。
「知らない」と、出席者全員が答えた。
「一応、掃除してくれた方にお礼を言っておこうと思って」と、管理会社の人はお礼書きを出席者に見せながら、
「これでよければ、この内容で掲示板に貼っておきたいのですが」と言った。
「ウンチしたのが人だったとして、もしその当人が掃除したのなら、そのお礼は必要ですかねえ？」と向こう隣のＩさんが言った。
「そうですね。もしその人が犯人なら、お礼は皮肉になりますよね」とぼくは言った。
「どうしますか？」と、管理会社。
「一応貼っておきましょう」と言う声が上がる。
「みなさんどうですか？」
「意義ありません」
「では」
ということで、お礼を掲示板に貼ることになった。
この日の会議に費やした時間は１時間半。議題は他にも数件あったのだが、決議したのはこの案件のみだった。
【1月19日】
8:40 掲示板にお礼が貼ってあった。
（2023年1月21日）
