くきなみ村から

人生万事大丈夫

【詩】バスに焦がれて

きみの唇に触れたのは
初めて知った恋なのか
意地を張った夢なのか
幼かった、夏の日に
ぼくはバスの影を見た

静寂の中、気がつくと
一人の女子が心にいた
ありふれた恋だった
中学時代、ぼくは一人
バスを探っていた

きみを乗せたバスが
見えなくなるまで
ずっと目で追っていた
高校時代、そのバスが
ぼくのすべてだった

ここでは恋をしないんだ
と心に言い聞かせて
過去の人を追っていた
東京時代、バスはまだ
ぼくの中を走っていた