2024-09-29 【詩】ラブ・マイナス・23 詩 空は重黒く垂れ下がっていた。風は艶めかしく吹いていた。雨は後ろめたく降っていた。街は空鉄砲に撃たれていた。若者は自由に明け暮れていた。大人は孤独を売り物にしていた。年寄りは赤信号で疾走していた。旅人は山頂の先を見つめていた。会社員は職安に群がっていた。組合員は職場を放棄していた。大学はアルバイトで溢れていた。予備校は遅刻者で溢れていた。ネズミ花火が宇宙を占めていた。線香花火は四次元を探していた。チンチン電車は遮断機を下ろしていた。ぼくはキャンディーズを聴いていた。