ぼくらはドラムのセットを抱え、
田んぼのあぜ道を歩いていた。
空には一片の雲もなく、
午後の日差しが頭をめがけ、
容赦無しに降り注ぐ。
ジージーワシワシ樹木の蝉と、
ギーギーギッチョン草むらの虫が、
だらしい暑さのリズムを刻む。
ドラムを持つ手はふさがって、
顔の汗さえぬぐえない。
風がないから汗は乾かず、
ポタリポタリとしたたり落ちる。
気がつきゃ汗はスティックよろしく、
スネアの腹を叩いてる。
ツマランタタンと叩いてる。
卒業後の進路のこととか、
それを踏まえた勉強だとか、
そんなものには関心もなく、
ぼくらはだらしくツマランタタンと、
田んぼの中を歩いていた。